「素敵なサプライズ」　2015年　オランダ

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第25回

「素敵なサプライズ　ブリュッセルの奇妙な代理店」
2015年　オランダ　105分
＜監督＞マイク・ファン・ディム

オランダ発のちょっと不思議なラブコメディである。
物語は、由緒正しい貴族ファン・ザイレン家の唯一の継承者であるヤーコブが、母を看取る場面から始まる。彼は、大庭園のある大邸宅に住み、何台もの高級車を持っている。誰もがうらやむような環境であるが、幸せではなかった。4歳の時に父を亡くして以来、一切の感情を失ってしまっていたのである。泣きもせず、笑いも怒りもしない。彼はずっと前から自分の人生を早く終わらせたいと考えていたが、母を悲しませないために、これまで実行しなかったのだ。
彼は、ふとしたことから「エリュシオン」（死後の楽園）という会社が、「究極の目的地へと生涯一度の旅を提供している」ことを知る。「愛する人に看取られる」コース、「冒険」コース、日常生活で突然終わりを迎える「サプライズ」コースなどなど。偶然の事故を装うこともあるが、他人に迷惑をかけず、環境への影響も最小限に抑えて「旅立ち」を遂行してくれる。ただし一度契約したら、絶対にキャンセルできないという固いルールがある。そんな非合法な会社を知っている人に生き延びられると困るのである。彼は即座に「サプライズ」コースに申し込んだ。
ところがヤーコブは、「エリュシオン」で別の「サプライズ」申込者のアンナと出会い、不思議な感情を抱くようになる。彼は彼女と会ううちに、「旅の延期」を申し出るのだが、それは許されないことであった。二人は生き延びられるのか。映画の後半にも「サプライズ」が待っている。
コメディながら、ヨーロッパの美しい風景や、モーツァルト、ヴィヴァルディ、ピアソラなどのBGMにより、格調高い映画となっている。